さん こ むろ さん
三 鈷 室 山

 いまから千二首年も前のむかし、イノシシやオオカミが現われ、田畑の作物を食い荒らしたり、旅人に襲いかかったりして、人々をたいへん困らせていました。
 ある時、そこへやってきたひとりのお坊さまがこの話を聞さ「なんとかして人々の苦しみを救おう」と、山の中に入って、熱心にお経を唱えたのです。
 そして、一つの峰に、観音像をおまつりし、二つ目の峰には霊符を、三つ目の峰には、金紋のついた仏器をまつって、さらに熱心に祈祷したのてした。
 すると、あれほど人々に害を与えていたイノシシやオオカミの群れが、嘘のように姿を消してしまいました。
 村人はたいへん喜び、「あのお方は、たぶん行基菩薩とかいう偉いお坊さまだろう」といって、感謝しました。
 その時、この旅のお坊さまは、三つの峰を「三鈷室」と名づけて立ち去ったということです。
 真ん中の峰に、法師塚と呼ばれるところがあります。これは、後世、仏器を埋めて旅憎の徳を永久にたたえるため、記念に築いた塚てあるといわれています。
 また、山腹の上人屋敷と呼ばれるところは、行基が庵をむすんで住んだ跡だと伝わっています。