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い はな とうげ
猪 ノ 鼻 峠 の お 化 け
小中から生瀬への道は、猪ノ鼻沢に沿っての山道を利用するのが普通でした。しかし、道は狭く、急な坂が多いので歩くのがやっとで、馬に乗ったり、籠に乗ったり、また荷車を引いたりすることはとうてい無理でした。
昼なお暗いシーンと静まり返った杉木立ちの中を、荷物を背負って歩いていくと、風のざわめきと沢の流れる音がなんとなく寂しいものだったそうです。
やっと猪ノ鼻峠近くまでたどりつき、闇が開けた場所で安心してひと休みしていると、首筋にスーと冷たいものがはしり、ゾクッとして思わず、ふり返ると、お化けが立っていたという人もいます。
また、「どちらまで行くんね!」と声をかけられたり、肩をたたかれた人もいたそうです。こんなうわさが往来する人々の間に立つと、鳥の鳴き声にも驚いて、一目散に家戸内集落まで駆け下りる人もたいへんいたそうです。
*家戸内集落 大子町高柴の小字名。
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