まる や   せん すい
丸 屋 の 泉 水 の 石

 生田の丸屋には、泉水の真ん中に一万貫もある大石がでんとすわっています。
 天保年間に里美地方を数回も飢饉が襲い、多くの人々が明日食べる米もなく困り果てていました。当時庄屋をしていた佐川民三郎は、「我が家が裕福になれたのはみんなのおかげだ。こんな時こそみんなに恩を返す
べきだ」と決心し、日ごろ蓄えてきた米や、稗を、残らず村人に与えてしまいました。
 おかげで村中一人の餓死者も出さずに、危機を切り抜けることができました。
 村人はこの恩に報いるため、「何か末代まで記念になるものを贈りたい」と相談し、泉水の石が良かろうということになりました。
 手分けして探したところ、半里ほどはなれた小妻の薄葉沢に見上げるような大石がありました。これを村中総出で、藤ゾルであんだ大縄をかけ、青竹の上を滑らせて運んできたと伝えられています。

現在の丸屋の泉水の石