おお なか    ちょうじゃ
大 中 の 長 者

 元禄のころ、大中村に織部、甚五兵衛という長者の兄弟がおりました。この兄弟は水戸黄門が大中を通ったとき、特別に目通りを許されたほどの長者でした。
 織部は棚倉街道随一の豪商といわれ、大変いばっていましたの神の祭礼(大中まち)が始められません。それで世話人たちが迎えに行くのですが二度三度では腰を上げてくれません。漸く、七、八度でやっと腰をあげるので、村人は陰で「七度半」といって迷惑がったそうです。
 甚五兵衛も勢力があり、ある時隣家で飼っていた家鴨が甚五兵衛の屋敷に入り込んだところ、刀て首をちょんぎり、紙に「無断侵入無礼千万につさ打ち取ったり」と書いて返してよこしたそうです。
 世間ては「畑にじしはり、田にびるも、宿に甚五兵衛なけりゃいい」と陰口を言っていたそうです。

      *じしばり キク科の多年草で、イワニガナのこと。
      *びるも ヒルモ(蛭藻)のこと。ヒロムシロ科の水草で水田や池沼に生える。