|
せん ふく じ
泉 福 寺 の 百 万 灯
むかしむかしのことです。
いまの大中泉沢の泉福寺境内にある薬師堂では、毎年旧の六月十一日には、それはもうたいそう盛大な「お田植え祭」というお祭りがありました。
お堂の中にはたいそうご利益のあるといわれるお薬師さまと仁王さまが両脇に安置されていて、村人たちの信仰を受けていたということです。
村人は田植えも無事に済んだことを感謝し豊作をいのり、大中のおとしよりたちは念仏を唱えて一晩あかしました。
和尚さんもおとしよりにまけまいと大般若経を転読して、おとずれる村人の豊作祈願を声がかれるまで唱えたそうです。
山門から薬師堂まではたいそうなみちのりで、橋を渡り階段を登ることもひと苦労だったそうです。お祭りが始まったころはまだまばらな山道の灯寵も、お祭りが盛大になり、おとずれる人々が奉納するにつれ、かぞえきれないほどの灯寵になっていきました。
そのあまりの荘厳な美しさをたとえ、語りつがれて、いつとはなしに百万灯とよばれるようになったといいます。
その後も、お祭りの日には、多くの露店がならび、また、お盆にはやぐらを立てて盛大な盆踊りなどが行なわれたそうです。
でもそのお祭りも、いつのころからかなくなってしまいました。
いま、薬師堂は相当いたみはひどいものの、わずかな参拝者にみまもられながら、その時代の威容を残しています。
|
|