てん ぐ       き  たお
天 狗 の 木 倒 し

 むかし、折橋から竪破山に登る大沢道は人家が全くなく、鬱蒼たる森林が続いていました。
 ある男が、川尻浜に海産物を仕入れに行き遅くなってしまったので、近道である大沢道を通って帰ることにしました。
 冬の凍るような寒い晩で真っ暗闇の夜道を急ぎました。峠にさしかかると、突然暗闇の中から「パカーン、パカーン」と大きな斧で幹を切っているような音がします。そのうち、さっとい一陣の風が吹いてきました。
 身の気がよだつ思いがし、びっくりぎょうてん。男は背中の荷をほうり出して、 一目散に逃げ帰りました。
 竪破山には、天狗が住むと伝えられており、寒い晩には、天狗が木倒しをしたり暴れたりすると古老から話を聞かされていたからです。